栃木県青年神職むすび会
栃木県青年神職むすび会 第23代会長 福田 有宏

  一昨年、わが国は大東亜戦争終結七十年の大きな節目を迎えました。戦後生まれの国民が八割強を占める日本に於いて平和は極々日常的な存在であり、改めて実感することは無いに等しいと云えましょう。しかし国外に目を向けますと今日何処に当たり前の平和など在りましょうか。世界情勢は刻々と変化し、頻発するテロ事件や民族紛争は世界中に暗い影を落としています。更に近年の自国第一主義傾向は難民や移民の排斥運動を招きました。もはや従来の国際秩序は崩壊寸前であり、様々な脅威に晒されているのは我が国も全く例外で無いのであります。

  日米同盟を例える際に日本はよく飼い犬のポチと風刺されますが、連合国によって植え付けられた自虐思想と歪んだ戦後教育によって国際社会における鋭い視力と正確な聴力、毅然とした発言力を我々は失ってしまいました。一刻も早く現状を自覚し、自国の平和と安全を守る為にどうするべきかを一人一人が自発的に考えねばなりません。ところが、昨今の日本社会に横行する極端な個人主義思想とそれを助長するかのような左傾向的風潮に対し、只ならぬ危機感を抱かざるを得ません。数多の先人たちが祖国の平和と日本民族の生存をひたすら願って戦禍へ散り逝かれました。その尊い犠牲の礎の上に今日の平和があることを決して忘れることなく、今こそ御恩に報いるべく我々の祈りを結集すべき時ではないでしょうか。

  本年は当会を創立五十五周年であります。こうして恙無く節目を迎えることができましたことは偏に歴代諸先輩方の御活躍とたゆまぬ御努力の賜物と衷心より感謝申し上げます。発会に至る御苦難は縷々聞き及んでおりますが、故きを温ねて新しきを知る事は当会の更なる発展に於いて肝要な事の一つであるであろうと承知をしております。GHQ占領下に於いて徹底して施された日本弱体化政策は、神社界を悉く弾圧し、斯界は存亡の危機に立たされました。しかし全国の神社は一致団結することによって難局を乗り越え、復活の道を見出しました。終戦の翌年には、全国神社の総意に基づき宗教法人神社本庁を発足し、まもなくして指定団体神道青年全国協議会が結束結成されました。本県に於いては、昭和二十一年五月七日に維持団体栃木県神社庁が設立され、本庁の地方事務機構を確立しました。そして、戦後の日本復興の象徴とされた東京オリンピック開催を二年後に控えた昭和三十七年三月四日、初代会長である横瀬勝寿先輩をはじめ、熱い志を同じくする県内若手神職四十三名によって栃木県青年神職むすび会が晴れて結成と成ったのです。『神社神道の興隆に基づき、自己の研鑽と会員相互の親睦を図り、且つ県神社庁の事業に協力する』とした発会の趣旨は現在も脈々と受け継がれております。奇しくも二度目の東京オリンピック開催を三年後に控えた今、一時は百名を数えた会員も結成時と同数にまで減少しました。しかし此れに憂う事無く、むしろ少数精鋭と自ら鼓舞するつもりで、築き上げられて来たむすび会精神を糧に斯界尖兵に相応しい活動を展開して参る所存であります。

  結びにあたり、此の度栃木県青年神職むすび会第二十三第会長の重責を仰せつかることと成りました事は、私にとりまして身に余る光栄であると同時に身の引き締まる思いで居ります。今後は栁田耕史先輩から託された襷をしっかり受け継ぎ、斯界発展と後進育成の為に奮励努力を尽くす覚悟でございます。黒川正邦庁長様をはじめ神職諸先輩各位、また関係諸団体の皆様に於かれましては会員一同に対し、今後共変わらぬ御指導御鞭撻と御厚誼を賜りますようお願い申し上げ、会長就任挨拶に代えさせて戴きます。