式年遷宮について
神宮について
日本人の心の拠り所として「お伊勢様」「大神宮様」と親しみ深く称される伊勢神宮は、神社神道の本宗と仰ぐ特別な神社です。
伊勢神宮は正しくは「神宮(じんぐう)」と称し、皇大神宮(こうたいじんぐう)と豊受大神宮(とようけだいじんぐう)の両正宮を中心に別宮十四社、摂社四十三社、末社二十四社、所管社三十四社、別宮所管社八社の合計百二十五社の宮々よりなります。
皇大神宮は「内宮(ないくう)」とも呼ばれ、神路山を源とする五十鈴川の川上にご鎮座しており、御祭神は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)(正式には天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ)です。神代、天孫瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が天降ります際に授けられた御神鏡は歴代天皇御親ら宮中にて奉斎しておられましたが、第十代崇神天皇の御世になり皇女豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)に託し笠縫邑にて祭らせ、更に第十一代垂仁天皇の御治世に至ると倭姫命(やまとひめのみこと)が御杖代となり諸国を巡った後、「この神風の伊勢国は常世の浪の重浪帰する国なり。傍国の可怜国なり。是の国に居らむと欲ふ(日本書紀)」との天照大御神の御神慮を受けて伊勢の地にお祭り申し上げることになったのが創始であるとされます。
一方、豊受大神宮は通称「外宮(げくう)」と呼ばれ、御祭神は豊受大御神(とようけのおおみかみ)です。内宮ご鎮座の約五百年後雄略天皇の時代に丹波の国から内宮に程近い高倉山の山裾にある山田原に迎えられました。豊受大御神の「トヨウケ」の「ケ」とは御饌(みけ)すなわちお米を中心とする食物のことを指し、豊受大御神は御饌都神(みけつかみ)として大御神に奉る御饌(=お食事)を司っておられます。このことから、衣食住はもとよりひろく産業全般の守護神としてあがめられております。
このように、神宮は御皇室のご祖神ひいては日本人の大御祖神を祭る全国民の総氏神として仰ぎ称えられ、また我々の日々の生活をお守りくださる大神様を祭る尊い御社なのです。
式年遷宮について
式年遷宮とは、定められた年(式年)に古式のままに社殿を新造し、御装束神宝も新しく整え、大神様に新殿へお遷りを仰ぐ(遷宮)お祭りです。
今から約1300年前に天武天皇がお定めになり、持統天皇四年(690年)に第1回ご遷宮が行われました。
長い歴史と伝統を受け継ぎ、国を挙げての大祭と重んじられてきました。
20年に一度執り行なわれる理由については諸説ありますが、20年毎にその時代時代を代表する最高の技術者によって全てを新しくすることは、日本古来の伝統工芸技術の継承を可能とする大いなる文化的な意義を有しています。
また、伊勢神宮は、内宮・外宮を含め125の社があり、式年には両正宮、その翌年に別宮14社の社殿が新しくされます。摂社・末社・所管社109社に関しては、20年目に大修理、次の20年目で新しく造替されるのが原則で別宮の遷宮の翌年から数年をかけて行われます。
遷宮諸行事について
【平成17年】
山口祭(やまぐちさい) 5月
遷宮の御造営にあたり最初に執り行われる祭儀です。御造営用材を伐採する御杣山(みそまやま)の山口に坐(ま)す神を祭ります。
御杣山は時代により変遷がありますが、古例のまま皇大神宮(こうたいじんぐう)は神路山(かみじやま)
豊受大神宮(とようけだいじんぐう)は高倉山(たかくらやま)の山麓で行われます
木本祭(このもとさい)5月
新宮の御床下に奉建する心御柱(しんのみはしら)の御料木を伐採するにつき、御木の木本に坐(ま)す神を祭ります。
深夜、両宮域内の山中で行われる秘祭で、「物忌(ものいみ)」と称する子供が忌斧(いみおの)を執って御料木奉伐の儀を行います。
奉伐された御料木は新殿完成時まで内宮は御稲御倉(みしねのみくら)、外宮は外幣殿(げへいでん)に安置されます。
御杣始祭(みそまはじめさい)6月
御杣山(みそまやま)で伐採作業を始めるにあたり、先ず御神体をお納めする「御樋代(みひしろ)」の御料材を伐採する祭儀。
皇大神宮・豊受大神宮の御料木が立つ祭場で安全を祈願し、御料木を「三ッ尾伐り」という古作法で切り倒します。
前回は長野県上松町と岐阜県加子母村で行われました。
御樋代木奉曳式(みひしろぎほうえいしき)6月
御杣山(みそまやま)で伐採した御樋代(みひしろ)の御料木は、沿道の各地で盛大な歓迎を受けながら週日を経て伊勢に陸送されます。
当式はこれを両宮域内に曳き入れる儀式。到着した御料木は、皇大神宮(こうたいじんぐう)は五十鈴川を遡り風日祈宮橋(かざひのみのみやばし)
付近から神域に曳き揚げられ、豊受大神宮(とようけだいじんぐう)は外宮北御門(きたみかど)から神域に入り
それぞれ五丈殿(ごじょうでん)前に安置されます。
御船代祭(みふなしろさい)9月
「御樋代(みひしろ)」をお納めする船形の「御船代(みふなしろ)」の用材を伐採する祭儀です。
内宮と外宮の両宮域内に宮山祭場(みややまさいじょう)を定め木本(このもと)の神をまつり、「物忌(ものいみ)」と呼ばれる童男童女が草木を刈り初め、小工(こだくみ)が伐採の式を行います。
【平成18年】
御木曳初式(おきひきぞめしき)4月
伊勢市・ 二見町 ( ふたみちょう ) ・ 御薗村( みそのむら ) の三市町村に住む旧神領民によって、御造営の用材を両宮に奉曳 ( ほうえい ) する伝統行事「 御木曳 ( おきひき ) 」の始めに行われる儀式です。正宮や別宮の棟持柱 ( むなもちばしら ) などにあてられる「 役木 ( やくぎ ) 」といふ代表的な御用材を、ゆかり深い特定の町の住民が神域に曳き込み 
「 役木曳 ( やくぎひき ) 」とも称します。
木造始祭(こづくりはじめさい)4月
御造営の工事開始に際して作業の安全を祈り行われる祭儀です。 五丈殿 ( ごじょうでん ) で饗膳 ( きょうぜん ) の儀を行い 同殿前に安置してある御木曳初式で奉曳された御料木に小工 ( こだくみ ) が 忌斧 ( いみおの ) を打ち入れます。
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御木曳行事(第一次)(おきひきぎょうじ)5月~7月
旧神領にあたる伊勢市・二見町・御薗村の住民が二ヶ月間にわたり御用材を両宮に曳き入れる盛大な行事です。
旧神領地の町内総出の晴れ舞台で、数日前に揃いの 法被 ( はっぴ ) 姿で 二見浦 ( ふたみがうら ) に「 浜参宮 ( はまさんぐう ) 」をして心身を清めて行事に臨みます。内宮の領民は 木橇 ( きぞり ) に御用材を積載して五十鈴川で「 川曳 ( かわび ) き」を行い外宮の領民は巨大な 御木曳車 ( おきひきぐるま ) で「 陸曳 ( おかび ) き」を行います。全国の「特別神領民」も多数参加し、期間中伊勢の街は勇壮な掛け声と木遣音頭 ( きやりおんど ) で包まれます。前回は翌年の第二次御木曳行事とあわせて二十万人が参加しました。
※栃木県内では、7支部・4団体で1040名が特別神領民として、5月~6月上旬にかけて参加、ご奉仕しました。

仮御樋代木伐採式(かりみひしろぎばっさいしき)5月
「 遷御 ( せんぎょ ) 」の際、御神体を納める「 仮御樋代 (かりみひしろ ) 」と「 仮御船代 ( かりみふなしろ ) 」の御用材を伐採するにあたり木本に 坐 ( ま ) す神を祭り 忌斧 ( いみおの ) を入れる式です。
【平成19年】
御木曳行事(第二次)(おきひきぎょうじ)5月~7月
旧神領にあたる伊勢市・二見町・御薗村の住民が二ヶ月間にわたり御用材を両宮に曳き入れる盛大な行事です。
第一次御木曳行事同様、全国の「特別神領民」も多数参加し、期間中、伊勢の街は勇壮な掛け声と木遣音頭 ( きやりおんど ) で包まれます。
※栃木県内2支部・5団体で365名が5月に特別神領民として参加、ご奉仕しました。
【平成20年】
鎮地祭(ちんちさい)4月
新宮 ( にいみや ) を建てる 新御敷地 ( しんみしきち ) で執り行われる最初の祭儀で、御造営作業の安全を祈り新宮の大宮地 ( おおみやどころ ) に 坐 ( ま ) す神をまつります。
【平成21年】
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宇治橋渡始式(うじばしわたりはじめしき) 11月
皇大神宮 ( こうたいじんぐう ) の入り口に架かる 宇治橋 ( うじばし )は 、檜の純和風の橋で、その美しさは伊勢の神宮の象徴ともなっており 遷宮の度に架け替えが行われます。大橋の守護神である 饗土橋姫神社 ( あえどはしひめじんじゃ ) での祭儀に続き、古式にのっとり渡り始めが行われます。
「 渡女 ( わたりめ ) 」を先頭に全国から選ばれた三世代揃った夫婦に続いて、全国の関係者や市民などが新橋を渡ってお祝いし多くの参拝者で賑わいます。

【平成24年】
立柱祭(りっちゅうさい)3月
正殿の建築の初めに際し、 御柱 ( みはしら ) を立て奉る祭で、 素襖烏帽子 ( すおうえぼし )姿 の 小工 ( こだくみ ) が四組に分かれて それぞれの御柱の木口を木槌で打ち固め新殿の安泰を祈ります。
御形祭(ごぎょうさい)3月
「 御形 ( ごぎょう ) 」とは正殿東西の妻の束柱にある装飾の一種で、それを 穿 ( うが ) つ祭儀です。御形は「 御鏡形 ( みかがみがた ) 」とも称し、円形の図様を穿つ秘祭です。立柱祭に続いて行われます。
上棟祭(じょうとうさい)3月
正殿の棟木を上げる祭儀。先ず正殿 ( しょうでん ) が古規通りの位置にあるかを測量する「 丈量儀 ( じょうりょうのぎ ) 」があり 続いて大宮司以下が棟木から伸ばされた綱を引いて棟上げの所作をし、「 千歳御棟 ( せんざいとう ) 、 万歳棟 ( まんざいとう ) 、曳々億棟 ( えいえいおくとう ) 」のかけ声と共に屋上の 小工 ( こだくみ ) が御棟木を木槌で打ち固めます。
檐付祭(のきつけさい)5月
新殿の御屋根の 萱 ( かや ) を 葺 ( ふ ) き初める祭儀です。
甍祭(いらかさい)7月
新殿の御屋根の葺き納めの祭儀で、 甍覆 ( いらかおおい ) などの金物を打ちます。
【平成25年】
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お白石持行事(おしらいしもちぎょうじ)8月
完成した正殿 ( しょうでん ) が建つ御敷地(みしきち)に敷く白石を奉献する行事。 御木曳行事 ( おきひきぎょうじ ) と同様に旧神領の住民が揃いの法被 ( はっぴ ) 姿で「 浜参宮 ( はまさんぐう ) 」の後、内宮は 川曳 ( かわび ) き、外宮は陸曳 ( おかび ) きでお白石を運び、御敷地に奉献します。「 御木曳行事 ( おきひきぎょうじ ) 」と同様、地元の旧神領民に加え、全国の「特別神領民」も参加します。
前回 ( 平成五年 ) は二十一万人が参加しました。
※栃木県内5支部・県内神社・崇敬会等諸団体の434名が特別神領民として参加、ご奉仕を予定しています。

御戸祭(みとさい)9月
新殿に御扉を取り付ける祭儀。御扉が付くことは殿外造作の完了を意味します。建物の神である 屋船大神 ( やふねのおおかみ ) をまつり 御扉に 御鑰 ( みかぎ ) の穴を穿(うが)ちます。
御船代奉納式(みふなしろほうのうしき)9月
御神体の鎮まる「 御船代 ( みふなしろ ) 」を殿内に奉納します。
洗清(あらいきよめ)9月
新殿竣功にあたり殿内を洗い清めます。
心御柱奉建(しんのみはしらほうけん)9月
心御柱 ( しんのみはしら ) は 正殿 ( しょうでん ) の御床下に建てられる特別な御柱で、 忌柱 ( いみばしら ) ・ 天ノ御柱 ( あめのみはしら ) ・天ノ御量柱 ( あめのみはかりのはしら ) とも呼ばれます。心御柱の奉建は遷宮諸祭の中でもひときわ重んじられてきた深夜の秘事です。
杵築祭(こつきさい)9月
新殿竣功に際し、御敷地である 大宮地 ( おおみやどころ ) を 撞 ( つ ) き固める祭儀です。祭儀に先立ち、 五丈殿 ( ごじょうでん ) で饗膳 ( きょうぜん ) の儀を行い、新殿の周りを巡り御柱の根本を古歌を唱えながら白杖で撞き固めます。
後鎮祭(ごちんさい)10月
新殿の竣功に際し、 大宮地 ( おおみやどころ ) の平安を祈ります。
御装束神宝読合(おんしょうぞくしんぽうとくごう)10月
皇陛下より大御神に献ぜられる 御装束神宝 ( おんしょうぞくしんぽう ) の式目を 新宮 ( にいみや ) の四丈殿 ( よじょうでん ) において 読み合わせる儀式です。御装束は大御神の御召し物や殿内の装飾の御料、神宝は威儀物で遷宮毎に古式通り新調し奉納されます。
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川原大祓(かわらおおはらい)10月
「 仮御樋代 ( かりみひしろ ) 」・「 仮御船代 ( かりみふなしろ ) 」や御装束神宝をはじめ、 遷御 ( せんぎょ ) に奉仕する 神宮祭主 ( じんぐうさいしゅ ) 以下の奉仕員を「川原 祓所 ( はらいしょ ) 」で祓い清めます。

御飾(おかざり)10月
遷御 ( せんぎょ ) 当日、殿内を装飾して 遷御 ( せんぎょ ) の準備をします。
遷御(せんぎょ)10月
大御神が本殿から新殿へとお遷り(うつ)になる遷宮祭の中核をなす祭儀。百名を超える奉仕員は、「 召立 ( めしたて ) 」にしたがって御装束神宝を手にして整列、天皇陛下の御定めがあった時刻(前回は午後八時)に 大御神 ( おおみかみ ) は大宮司 ( だいぐうじ ) ・少宮司 ( しょうぐうじ )・禰宜 ( ねぎ ) に 奉戴 ( ほうたい ) されて本殿から出御 ( しゅつぎょ ) され、新殿へ 入御 ( にゅうぎょ ) されます。
天皇陛下には 遷御 ( せんぎょ ) に際して 勅使 ( ちょくし ) を派遣され、また出御の時刻には宮中の 神嘉殿 ( しんかでん ) の前庭からはるかに伊勢のかたを 御拝 ( ぎょはい ) されると漏れ承ります。また前回は皇族を代表し秋篠宮殿下が参列され、参道沿いでは各界の代表者を始め特別参拝者が多数祭儀を見守りました。
大御饌(おおみけ)10月
遷御 ( せんぎょ ) 翌日の早朝、新殿において初めて大御神に 大御饌 ( おおみけ )といわれる神饌を奉ります。
奉幣(ほうへい)10月
天皇陛下から奉られる 幣帛 ( へいはく ) を奉納します。古くは「 一社奉幣 ( いっしゃほうへい ) 」と称され
遷御と共にひときわ重んじられてきた祭儀です。
古物渡(こもつわたし)10月
古殿内の御神宝類を新殿の 西宝殿 ( さいほうでん ) に移す儀式です。
御神楽御饌(みかぐらみけ)10月
「 御神楽 ( みかぐら ) 」を行うに先立ち 大御饌 ( おおみけ ) といわれる神饌を奉ります。
御神楽(みかぐら) 10月
天皇陛下には 遷御 ( せんぎょ ) の後、神宮に宮中の 楽師 ( がくし ) を差し遣わされ 御神楽 ( みかぐら ) および秘曲( ひきょく ) をご奉納になります。勅使・神宮・祭主以下が 四丈殿 ( よじょうでん ) 内の座に着き、 庭燎 ( ていりょう ) の明りがゆれる中 深夜まで御神楽が奏でられます。
※伊勢神宮式年遷宮奉賛会広報本部HPより抜粋、県内の取り組み状況を追記致しました。

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